Ingress Meetup in Ishinomaki
スマートフォン向け位置情報ゲーム「Ingress」。グーグルが開発したこのゲームを石巻市で行うイベント
「Ingress Meetup in Ishinomaki」が、5月10日11日に開催されました。
Ingressとは?
1人1人のプレイヤー(ゲーム中ではエージェントと呼ばれる)が個々にプレイし、ときおり数人のグループでプレイする
「Ingress」は、街中にあるポータルを緑(エンライテンド)・青(レジスタンス)の陣営に分かれて奪い合い、
複数のポータルをリンクさせて自陣を広げていく陣取りゲームです。Googleの社内スタートアップ、Niantic Labsが
開発したものです。
そのプレイヤーの数は、世界で約300万ととても大規模です。このイベントでは、ポータルを奪い合い、その獲得数や、
ポータル同士を繋ぐリンクの数、あるいは自陣(コントロールフィールド)の構築数などを元に得点が算出され、
勝敗が決まります。
この日のイベントのために事前に街歩きを行いながら、地域住民の方からヒアリングを行い、石巻市内の公園、
多くの建造物が流された中瀬エリア、駅周辺の商店街エリアあわせて約120カ所のポータルとして作成しました。
震災前の写真を使ってポータルにしており、初めて訪れる人にも震災前後の姿がゲームを通してわかるような仕組みを
作りました。
イベント参加者は国内からは東京や大阪、海外からは米国や韓国、オーストラリア、香港。地元のプレイヤーや、
東北各県から直接訪れたプレイヤーあわせて約80人に及びました。
ツアーの最初の到着地点はがんばろう石巻。参加者全員が線香をあげたのちに黙祷を行いました。
石巻出身の古山とフィッシュによって、この場所について、この地域の話をしました。
そこから一同は日和山にて移動。オープニングセレモニーとして、
今回のイベント企画者のGoogleの川島優志さん、ISHINOMAKI2.0代表の松村豪太さん、
ゲームキャラクターのKlueからのスピーチ。
そして、ゲームスタートです。
街に散らばっていくエージェントたち。
地元のプレイヤーとしてイトナブメンバーの津田君ことフィッシュが取材され
『エージェントたちが敵軍のポータルを破壊しては、すぐに敵軍に奪われる。そこが面白い。』
と答えたように、戦略性やチームワークが問われます。
あるグループはレンタサイクルを繰り出し、通信で連絡をとりあいながら街中を走り回り、
壮絶な戦いを繰り広げました。
戦いの最中もミニゲームとして、かつてGoogle Earthを開発し、現在はIngressを開発した部門のトップでもある、
米グーグルNiantic Labs(ナイアンティックラボ)副社長のジョン・ハンケ氏をヒントを基に探すという企画も
平行して行われました。
お昼からスタートした戦いは日が暮れるまで続き、その後に石巻市内のホテルにて表彰式と懇親会が行われました。
会場設営はイトナブにて行い、所持しているスマホで自在に操作できるLED照明「Philips hue」を20個ほど
設置してクラブパーティのような演出を行いました。
勝敗の結果は同日に開催された海外でのイベントの結果も加味され、緑のエンライテンド陣営に軍配が上がりました。
懇親会ではゲームを通して得た情報を元にしたビンゴゲームやジョン・ハンケ氏やゲームキャラクターのKlueの
サイン会が行われ、終始盛大な盛り上がりを見せました。
今年も7月に石巻ハッカソンを行います。同時に石巻でIngress関連のイベントを平行してふたたび開催いたします。
被災地でゲームのイベント?と思われるかもしれませんが、ISHINOMAKI 2.0代表の松村豪太氏が
「自分の足で出向き、出会うこと。震災前に気付いていなかったような価値を知ってもらうことが大事になる。
部屋から出て街に行く。楽しむことが大事になる。」
とコメントしたように、私たちは過去を受け止め、そこで立ち止まらずに進んでいかなければなりません。
イトナブでも方針のひとつである遊ぶということ。今を楽しんでいくということが結果的にはその人の世界を広げます。
『今の東北を肌で感じることができた』『またここに来たい』という参加者の声がそれを物語っています。
きっかけはなんであれ、その世界に触れてもらうということが私たちの学びやこれからの東北に必要なのだと思います。
ジョン・ハンケ氏はイベント中にイトナブ石巻の事務所に訪れました。そのときの様子を後日のインタビューにて
『今日もイトナブ石巻を訪れて、子供がゲームを開発しているのを見て感銘を受けました。同時にスクリーンの前だけで
過ごすことは好ましくないとも思いました。大人と子供がゲームを一緒に楽しめるものができないかと思っています。』
とコメントされました。私たちはこのコメントを真正面から受け止める必要があります。
この世界はスクリーンの中だけが全てではないからです。子供たちには自分たちのいる世界を、自分の目で見て耳で聞いて
肌で感じながら過ごしてもらいたいと思います。その経験が今後学んでいく技術と混じり合った際に、より世界にとって
現実的で素晴らしいサービスが生まれていくことになるからです。
今回のIngressはまさに、自分の体を動かして、感じて、人が繋がっていく、現実と技術が混ざり合ったゲームです。
この世界的人気ゲームのイベントを企画運営に携わることができたことは、イトナブや石巻の若者にとってとても
貴重な経験となりました。そして今後にこの経験を活かしていくのが私たちの目標でありミッションです。
地域はまだまだ面白くなります。地域の未来にむけて私たちはこれからも走り続けます。